2013年9月28日土曜日

本屋図鑑(夏葉社)

(びすこ文庫で取り扱いのある夏葉社さんの本のご紹介です。)

本屋図鑑 著者:絵 得地直美/文 本屋図鑑編集部 
1,836円(税込) 夏葉社



“本屋は友人であり、家族である”

素晴らしいの一言につきます。これほど、本好き・本屋さん好きを喜ばせてくれる本はないでしょう。

ぱらぱらとめくってまず驚かされるのが、そのイラストの緻密さと数の多さ。46都道府県すべての本屋さんが紹介されており、その1件1件のイラストが描かれているのです。写真ではなく、イラストなんですよ。それだけで、これが普通の本屋紹介の本ではないことが伝わってきます。気合いの入り具合が違うことが。それぞれの本屋さんの紹介文にも、執筆者の島田さん・空犬さんの本屋に対する愛情があふれています。

考えてもみてください。全都道府県の本屋さんに、取材の依頼をし(断られたところも多々あったと聞きます)、現地まで取材のため赴き、取材をして、写真を撮って、文章にし、写真をもとにイラストを描く。この気の遠くなるような作業を繰り返し、できあがったのがこの『本屋図鑑』です。愛情と、熱意と、根性と、こだわりと、とにかく本いっぱいに、製作者の方々の思いが詰まっているのです。
本屋の紹介本を読んで、胸を打たれて涙する、なんて、これまであったでしょうか。

また『図鑑』の名に違わず、本屋さんの構成(どこにどんな棚が?)、町の本屋さん(立地別)、本屋さんの棚の詳細、全国のいろんな本屋さん(「空港にある本屋さん」「病院にある本屋さん」「海の見える本屋さん」「最北端にある本屋さん」などなど)、更には戦後から2013年までの本屋さんの歴史や、「本屋さんの一日」「知っておきたい本屋さん用語集」「本屋さんをもっと知る本三〇冊」まで、町の本屋さんのすべてを網羅している、といっても過言ではない一冊です。

通読して思ったのは、大きな本屋さんも好きですが、やっぱり町の本屋さんっていいなぁ、なくならないで欲しいなぁ、ということ。そのために何ができるのか、真剣に考えなければいけないと思いました。
イラストを描かれた得地直美さんの画集としても楽しめる、贅沢で、ずっと手元に置いておきたいと思える名著です。

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(以下、夏葉社サイトより)

良い本ってなんだろう

夏葉社は1万人、10万人の読者のためにではなく、
具体的なひとりの読者のために、本を作っていきたいと考えています。
マーケティングとかではなく。
まだ見ぬ読者とかでもなく。
いま生活をしている、都市の、海辺の、山間の、
ひとりの読者が何度も読み返してくれるような本を
作り続けていくことが、小社の目的です。
どうぞ、末永いおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

夏葉社代表 島田潤一郎

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